北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
出だしから怪しかった新9号機であったが、マザーボード交換後は無事安定し、とりあえずの測定を行うことができた。

先々代のCore i9 10900や先代のCore i9 11900同様、初期状態とPL2 = Maxiumum Turbo Power (MTP) を調整した後での比較も行う。

今まではPL2 = 81Wに調整していたが、Core i9 12900ではコアが増えたこともあり、PL2 = 104Wに調整した。ちょうどPL1 (65W) の1.6倍の数字である。
 
9th PC model 21.19th PC model 22.1
CPUIntel Core i9 11900
8-core/16-thread,
2.80GHz/Boost Max 5.20GHz,
L3=20MB, TDP65W
Intel Core i9 12900
16-core/24-thread (8 P-core + 8 E-core),
P-core : 2.40GHz/Boost Max 5.10GHz,
E-core : 1.80GHz/Boost Max 3.80GHz,
L3=30MB, TDP65W
MotherboardASRock Z590M Pro4
Intel Z590 chipset, MicroATX
ASUS ROG Strix Z690-G Gaming WiFi
Intel Z690 chipset, MicroATX
memoryCrucial DDR4-2666 16GB×4Crucial DDR5-4800 32GB×2
GPUASUS PH-GTX1660TI-O6G (NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti)
Storage 1WD Black SN850 1TB
電源SilverStone SST-SX700-PTCorsair SF750
ケースAbee acubic G40
CPUクーラーNoctua NH-L9x65
OSWindows 10 21H1Windows 11 22H2


ちなみにCore i9 12900の公式の設定はProcessor Base Power (PBP) 65W、MTP202Wである。PBPの3倍に達するMTPの数字は少々いかがなものかと思いながら、ASUS ROG Strix Z690G Gaming WiFiでの設定を確認する。

Core i9 12900 Unlimited Idle (2022年10月15日)

PL1 = Unlmited, PL2 = Unlimited

・・・いやな予感しかしない。

Core i9 12900 MTP104W Idle (2022年10月15日)

調整した後はこちら。PL1 = 65W, PL2 = 104Wとなっている様子がわかる。PL1, PL2の調整もCore i9 10900以降、だいぶ慣れてきた感がある(実際BIOSを少しいじるだけだし)

ベンチマークスコアは以下の通り。

Core i9
11900
Core i9
12900
Unlimited
Core i9
12900
MTP 104W
Blender 3.0monsterN/A149.26137.05-8.2%
junkshopN/A85.2572.84-14.6%
clasroomN/A62.0954.12-12.8%
CineBench R15OpenGL209.59281.52285.55+1.4%
CPU183032523034-6.7%
CPU single246274284+3.6%
CineBench 20CPU409680237273-9.3%
CPU single600739757+2.4%
CineBench 23CPUN/A1854818095-2.4%
CPU singleN/A19191972+2.8%
PCMark 10718079757617-2.0%
Essentials10839107089796-8.5%
Productivity97201109211094+0.018%
Digital Content Creation95331158711035-4.8%
3DMark
TimeSpy
641864356359-1.2%
Graphics597458035755-0.82%
CPU110901682715703-6.6%
3DMark
FireStrike
144751457514535-0.27%
Graphics153821512015119-0.066%
Physics265023608035202-2.4%
Combined682067366711-0.37%
FFXV Benchmark837684308680+3.0%
ちはやローリング2884526
シベリア
2793543
シベリア
2831268
シベリア
+1.4%


MTP調整前と調整後ではMulti-coreが効く場面において、調整後のスコアが低くなる傾向が見られるが、Core i9 11900のPL2調整前後程の差は出ていない。Core i9 11900は81W、Core i9 12900は104Wと今回の方が緩めの設定なのでそれも寄与しているのかもしれないが、Ulimited時の発熱が酷くて性能が出し切れていない可能性も高い。
一方、稼働するスレッド数が少ない場合は逆にMTP調整後の方がスコアが高くなる傾向がある。稼働するスレッド数が少ない場合はMTP104Wでも十分力を出せるのかもしれない。

そして温度と消費電力である。

Core i9
11900
Core i9
12900
Unlimited
Core i9
12900
MTP104W
消費電力Idle48W57W57W±0%
OCCT Load (Max)186W312W209W-33%
OCCT Load (Avg)117W223W143W-35.8%
負荷時最高温度65℃100℃80℃
負荷時周波数 Max4.60GHz5.00GHz3.70GHz
Avg3.30GHz3.30GHz2.60GHz


初期設定のUnlimitedの値は凄まじいものとなった。Idle時の消費電力Load時は最大312Wを記録、平均値223Wと凄まじい値となった。温度は常にTjMaxの100℃で張り付いており、夏の間のとんでもない熱さも頷ける結果であった。

そしてその中身がまた酷い。

Core i9 12900 Unlimited Load (2022年10月15日)

周波数は一瞬だけ5.00GHzに達した後、徐々に落ちていく。一度3.70GHzで落ち着くかに見えるが、冷やし切れていないようで、右肩下がりで周波数が周波数が落ちていき、6分後には3.29GHzまで下がってしまった。温度はその間無慈悲に100℃を維持し凄まじい発熱をまき散らす。312Wの数字は一瞬だけ到達した5.00GHzの時の値である。その後、周波数の低下とともに消費電力は下がり、260→240→223Wと推移する。冗談じゃなしに腹ぺこで動けない事態が生じていたのである(これぞまさしくお腹ぺこぺこのペコリーヌである。ペコリーヌ(オーバーロード)ならぬペコリーヌ(オーバーヒート)

PBP65W, MTP104W, Tau 28secに調教設定すると流石におとなしくなる。

Core i9 12900 MTP104W Load (2022年10月15日)

Tauで設定されている28秒間だけ3.70GHzに達した後、その後は2.60GHzに落ち着く。温度も80℃を維持する。

しかし、この状態でも、散々熱いだのと言われた“Rocket Lake-S”ことCore i9 11900の初期設定の数字よりも高い。SSD 1枚分とDDR5メモリだけではこの差はでてこないはずなので、Core i9 12900の方が発熱・消費電力ともにシビアであると言わざるを得ないだろう。

性能は確かに上がった、しかし消費電力と発熱も増えた(ヤバいですねっ☆)。どうやら狭小ケースユーザーには辛い時代になってしまったようだ。

例に漏れず、このベンチマークの値は良識の範囲であればご自由に使用していただいてかまわない・・・まあ、あまり使えるものではないだろうが。

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コメント
この記事へのコメント
191247 
次世代もかなりの大飯喰らいのようだしペコリーヌの進化が止まらない…
2022/10/15(Sat) 22:04 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191249 
CPUクーラーはリテールのものかな?
2022/10/15(Sat) 22:51 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191253 
そういえば八雲さんは16コアが当たり前の時代になったらお名前は十六夜(イザヤと読ませる)に?
2022/10/16(Sun) 01:52 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191257 
コア数はすぐに古くなるからクロック周波数にしよう
6GHz子にしとけばしばらく持つでしょ
2022/10/16(Sun) 02:30 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191258 
Core i9-13900Kは65W設定でCore i9-12900Kと同性能らしいから、こっちだと小型のケースでも運用出来るかもね
2022/10/16(Sun) 02:38 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191259 
反りダーレイク発動してそうな予感ある
2022/10/16(Sun) 06:19 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191262 
コア数が多くなってTDP65Wという純粋な発熱・消費電力に収めるのが不可能なってしまった
悲しい
性能伸ばす方向も大事だが省電力方向もちゃんとやって欲しい
2022/10/16(Sun) 08:26 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191263 
CPUの耐性次第だけど、電圧下げもやって欲しい。
2022/10/16(Sun) 09:26 | URL | 774@本舗 #-[ 編集]
191264 
DDR4ではアクセス待ちでコアが遊んでるってことかな。
2022/10/16(Sun) 11:42 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191265 
DDR5-5600のRaptorだとどれだけ爆熱なんだろうか・・・。
2022/10/16(Sun) 11:45 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191268 
12900K Long125W-short135Wで、CINEBENCH R23 Multi Core 24000超えるのに。
12900、Unlimited設定で18548とずいぶん低いな。
2022/10/16(Sun) 19:13 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191271 
これは腹ペコじゃなくオーバーヒートですね
良く冷やしたらもっとたくさん食べられるよ^^
2022/10/16(Sun) 22:56 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191274 
>191268
その結果がどこから引っ張り出してきた値かはわからないけどCPUクーラーの差じゃない?
水冷環境など、冷却マシマシ環境ならばもっと出ると思うけど
小型PC前提で使用しているロープロ仕様のNoctua NH-L9x65だと無理があるのだと思う

…言っておくけどNoctua NH-L9x65の性能が低いわけではないんやで?
2022/10/17(Mon) 00:25 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191292 
ネットのベンチマーク結果は、水冷使うのが多いから、9cm空冷かつ、小さいPCで性能が示されるのは興味深いですね。

また、電力盛々だと熱限界が来るので、TDP下げた状態と同じくらいの性能というのも面白いです。
2022/10/17(Mon) 21:56 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191293 
MTPを制限すればCPUに関してはその通りのピーク電力になりそうだから
MTPを104Wに制限してRocketのIntel標準設定よりピーク電力高くなるってことは
CPU以外も電力食いってことなのかな。
一番怪しいのはDDR5、二番目がマザーボードだと思う。
2022/10/17(Mon) 23:57 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191305 
最早これまで…
ハードウェア云々で買い替える時代は終わった…
またもやOSに振り回される時代に逆行だ…
https://www.gizmodo.jp/2022/10/windows-12-ui.html
2022/10/18(Tue) 22:41 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191437 
省電力・小ケースPCはそれこそミドルクラス以下を載せろってことでは。用途次第ではi5どころかi3ですら十分なわけだし
2022/10/25(Tue) 15:18 | URL | LGA774 #-[ 編集]
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