北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
Intel RKL-S: Adaptive Boost for more than 5 GHz on all cores(Hardwareluxx)
Intel introduces Adaptive Boost Technology for 11th Gen Core i9 Series(VideoCardz)

Intelは3月16日にデスクトップ向け第11世代Core processorとなる“Rocket Lake-S”を発表した。だが、“Rocket Lake-S”にはまだ隠された機能―もう1つのBoost機能があるという。しかし、いくつかのケースではマザーボードに最新のマイクロコードを組み込んだBIOSを導入しており、そのもう1つのBoost機能であるAdaptive Boostの存在はもはや驚きのものではないのかもしれない。

TurboBoost機能が複数あって大分ややこしくなたのでそろそろ整理した方が良いかもしれない。ちょうど今回出てきたIntel(R) Adaptive Boost technologyと題されたスライドにその他のBoost機能についても触れられているのでいい機会である。
 
まず、一般的にTurbo Boost機能対応Processorのすべてに実装されているのがTurbo Boost 2.0である。Turbo Boost 2.0が働くコア数は1-coreからそのProcessorの全てのコアまで、動作するコア数に応じて引き上げられる周波数が定められている。動作する温度条件はAdaptive Boost technologyの解説スライドには100℃までとある。Core i3やCore i5に搭載されているのがこのTurbo Boost 2.0である

そしてCore i7に追加されるのがTurbo Boost Max 3.0である。これはTurbo Boost 2.0での周波数上昇に加え、最速で動作する1ないしは2つのコアの周波数を追加で引き上げる機能である。動作温度の条件はTurbo Boost 2.0と同じ100℃となっている。

100℃という数字がどこからでてきたのか? と疑問に思われる方がいるかもしれない。Adaptive Boost technologyの解説スライドにはないが、Intel ARKをみるとT Junctionと呼ばれる数字が設定されている。この数字はCPUダイの動作温度の上限を定めたものである。そしで第11世代デスクトップ向けCore processorではこのT Junctionが100℃に設定されている(余談ながらMobile向けの第11世代Core processorこと“Tiger Lake-UP3”も100℃に設定されていた)。

3番目のBoost機能がThermal Velocity Boostである。Thermal Velocity BoostはT seriesを除くCore i9に搭載される。動作するコア数は1-coreから全コア、Turbo Boost 2.0ないしはTurbo Boost Max 3.0で定められた周波数よりもさらに100MHz周波数を引き上げる。動作温度は70℃以下とTurbo Boost 2.0やTurbo Boost Max 3.0のそれよりも厳しい。Intel ARKにあるCore i9 11900のページを開くと先ほどのTJunctionの他にIntel Thermal Velocity Boost temperatureという数字が設定されており、資料どおり70℃となっている。

ここまでが今まで明らかにされているBoost機能である。

Core i9 11900Kであれば定格周波数は3.50GHzである。Turbo Boost 2.0が動作すると1, 2-core動作の時は5.10GHz、3, 4-core動作の時は5.00GHz、5, 6-core動作の時は4.80GHz、7, 8-core動作の時は4.70GHzまで周波数が上がる。Turbo Boost Max 3.0は追加で最速の1ないしは2つのコアを100MHz高い5.20GHzまで引き上げる。ここで温度がThermal Velocity Boost temperature以下であればThermal Boost technologyが動作し、さらに100MHz周波数を引き上げる。具体的にはTurbo Boost 2.0やTurbo Boost Max 3.0の設定よりも100MHz高い数字となる(1,2-coreなら5.30GHz、3, 4-coreなら5.10GHz、5, 6-coreなら4.90GHz、7, 8-coreなら4.80GHz)。

周波数を引き上げることによる消費電力増加は怖いが、Thermal Velocity BoostはTurbo Boost 2.0やTurbo Boost Max 3.0よりも動作温度条件が厳しいため、発熱の面では良心的である。

この時点でスーパーサイヤ人を超えたスーパーサイヤ人のような話になってしまっているが、ここからが本題のAdaptive Boost technologyである。これは主にMulti-core動作の時に働く スーパーサイヤ人を超えたスーパーサイヤ人をさらに超えたスーパーサイヤ人。Thermal Velocity Boostでは3, 4-core動作、5, 6-core動作、7, 8-core動作と動作するコア数が増えるに従い、周波数の上限が階段状に下がっていく(基本的にはTurbo Boost 2.0 + 100MHz)。Core i9 11900Kであれば5.10GHz, 4.90GHz, 4.80GHzである。Adaptive Boost technologyは5-core以上の動作の時もThermal Velocity Boostが定める3, 4-core動作時の周波数まで―Core i9 11900Kでいえば5.10GHzまで引き上げるものである。動作条件となる温度はThermal Velocity Boostのそれよりも緩くT Junctionである100℃である。5~8-core動作時の周波数の向上が主たるものだが、条件次第では3, 4-coreの時もAdaptive Boost technologyを有効にすればBoostの効きはさらによくなる。具体的にはThermal Velocity Boost temperature以上T Junction以下の条件の時、3, 4-core動作でAdaptive Boost technologyが働く ここまでBoostをかけたら消費電力もきっとスーパーサイヤ人クラス。なお、Adaptive Boost technologyが搭載されるのはCore i9 11900K/11900KFのみである。

    ■■■Boost機能まとめ■■■
  • 基本のBoost機能がTurbo Boost 2.0
    1-coreから全コアまで動作。T Junction以下の温度との時に発動する。
    Core i3からi9までのProcessorに搭載されている。
  • Turbo Boost Max 3.0はTurbo Boost 2.0に加え、最速で動作する1ないしは2つのコアの周波数を100MHz引き上げる機能
    動作温度はTurbo Boost 2.0と同じT Junction以下。Turbo Boost 2.0に加えてさらにSingle-thread性能の向上が目的と見なすことができる。
    対応するのはCore i7とCore i9である。
  • Thermal Velocity BoostはTurbo Boost 2.0やTurbo Boost Max 3.0よりもさらに100MHz周波数を上げる機能
    1-coreから全コアまで動作する。あくまでも温度に余裕があるときに発動し、その条件となる温度―Thermal Velocity Boost temperatureはT Junctionよりも厳しい70℃に設定されている。
    対応するのはT seriesを除くCore i9と限られる。
  • Thermal Velocity BoostよりもさらにMulti-thread時の周波数を引き上げるのがAdaptive Boost technology
    5-core以上での動作時においてもThermal Velocity Boost 3, 4-coreで設定された数字(Core i9 11900K/11900KFならば5.10GHz)まで周波数を引き上げる。条件となる温度はT Junction以下。Thermal Velocity Boostのそれよりも条件は緩い。
    対応するのはCore i9 11900K/11900KFのみ


あの娘の必殺技なんていったっけ? Princess Boost Strike??
とりあえず、電源は良いものを用意しておきたい。

※Turbo Boost Max 3.0の記述を修正しました。ご指摘ありがとうございました。

なかなか書き表しにくいが、1, 2-coreにBoostがかかっている際も、他のコアは定格で動いてるわけではない? Thermal Velocity Boostで5.3 / 5.3 / 4.8 / 4.8 / 4.8 / 4.8 / 4.8 / 4.8 GHzのような動作がある?? 要検証。・・・どこまでやれるかはわからないが。OCCT等で全コアに負荷をかけた状態で、さらにコア数を制限した追加の負荷をかければ検証できるだろうか(熱暴走しそう)

(過去の関連エントリー)
“Rocket Lake-S”―デスクトップ向け第11世代Core seriesが正式発表される(2021年3月17日)
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コメント
この記事へのコメント
180240 
CPUの話題で電源が出てきてワロタ
2021/03/19(Fri) 00:07 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180244 
>とりあえず、電源は良いものを用意しておきたい。
ここ大事ですね、それとここまで来ると冷却もそろそろ本格水冷が必要そうな気がします…
2021/03/19(Fri) 00:26 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180245 
突き詰めると動作周波数をどこまで上げるかって話だけど
温度だけ見張って電力突っ込み放題みたいなのじゃなく
もう少し賢いやり方はないものか
2021/03/19(Fri) 00:33 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180249 
火災保険の用意も
2021/03/19(Fri) 01:03 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180256 
TB3.0の説明間違ってませんかね?これだとTB2.0の1,2コアの周波数をモデルによって引き上げるだけで同じことになるのでTB3.0を銘打つ意味がないような。
全コア稼働時であっても、全コアが同一周波数ではなくそのうち1,2コアは1,2コアの最大周波数で動くというのがTB3.0だったような。
2021/03/19(Fri) 02:10 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180263 
電力と発熱を生け贄にした悪魔の召喚術みたいです
2021/03/19(Fri) 05:42 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180278 
Intel としては XX-Boost で性能を高く見せたいんだろうけど、CPU の寿命が短くなりそう。
趣味の自作ならともかく、業務で使う PC で、数年後大問題になるんじゃないかな
2021/03/19(Fri) 13:39 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180280 
スーパーサイヤ人3じゃないが
ドーピングしすぎで、最後は自滅しそう。
2021/03/19(Fri) 14:01 | URL | LGA774 #JalddpaA[ 編集]
180303 
>180278
高い計算性能が必要なPCなら数年で入れ替えるだろうし、長期使い続けるPCにはそもそもXX-Boostを搭載した高級CPUなんて載らないんじゃないかしら。
2021/03/19(Fri) 23:46 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180314 
5GHz前後のクロックに対し、そんな無理してあげたたかだか100MHz程度のBoostに、はたしてどれだけの価値があるんだろう?
2021/03/20(Sat) 07:07 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180315 
xx-boostって実装するだけならタダみたいなものだし
それで高く売れるならやらない理由はないわな
消費者が要らんと言わない限りこの路線を続けるでしょう
2021/03/20(Sat) 08:12 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180340 
>180278
定格で使っている限り、どんな使い方をしてもintelの保証期間は大丈夫でしょ。
といっても日本で売っているボックス版は3年しかないみたいだけど。

2021/03/20(Sat) 22:51 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180345 
CPUの話で電源の話になったりするのは普通だと思うんだけど・・・

日本の自作衰退しすぎ?
2021/03/21(Sun) 18:01 | URL | LGA774 #urevNNnA[ 編集]
180358 
>定格で使っている限り、どんな使い方をしてもintelの保証期間は大丈夫でしょ。

それが怪しいのでは。ということを言っています。
来年、再来年に、壊れはじめる CPU が出てくるかな。と。
とくにノート系は CPU 交換できないから結構大変でしょう。

それまでに懐具合を改善できていれば良いのですが。賭に勝てるか負けるか。
2021/03/21(Sun) 23:34 | URL | LGA774 #-[ 編集]
180369 
>180345
今時のGPU含む12Vがシングルレーン化してる電源でCPUの消費電力程度が話題になるほうがどうかしてる
2021/03/22(Mon) 18:01 | URL | LGA774 #-[ 編集]
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