北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
21回目はIntelの“10nm”プロセスのCPUを使ってPCを組んだ記録をお届けしたい。

「10nm? “Alder Lake-S”なら珍しくもなんともないじゃないか」

そう思われた方も多いだろう。だが“Alder Lake-S”のプロセスについてはIntelはきっとこう言うだろう。

「“Alder Lake”の製造プロセスは“Intel 7”だ」

だが、そんなIntelでも“10nm”であると認めざるを得ないCPU達がいる。

「“Alder Lake”以前の10nm世代はMobile向けだけじゃないか。自作なんてできるの?」

できるのである。

これを用いれば。
 
ce Lake-SP 4 (2022年9月19日)

“Ice Lake-SP”こと第3世代Xeon Scalable Processorである。
10nmプロセスにも世代があり、黒歴史となってしまった“Cannon Lake”の初代10nm、“Ice Lake-U”に用いられた2代目10nm、“Tiger Lake”で用いられた10nm SuperFin、そして現在はIntel 7を名乗る10nm Enhanced SuperFinの4世代である。
“Ice Lake-SP”で用いられているのは、“Ice Lake-U”と同世代の2代目10nm・・・らしい。どちらにしろ、“Ice Lake-SP”はまごうことなくIntelの10nmプロセスのCPUで、たとえ“Alder Lake”がIntel 7になったとしても、Intel 10nmプロセスのCPUでの自作は可能になっていたわけだ。

当初はパーツがそろわずお供え物状態だったが、昨年末にようやくパーツがそろった。

“Ice Lake-SP”は当時6年を経過していた2号機―“Haswell-EP”ことXeon E5-2680 v3×2の置き換えとして導入した。“Haswell-EP”のメモリは周波数が低いながらもDDR4 Registered DIMMであり、メモリを使い回すことで比較的安価に更新ができるという算段だった。

Ice Lake-SP 1 (2022年9月19日)

昨年11月にパーツがそろい組み上げ、そして稼働。
しかしその後Windows 11に対応させるためにTPMモジュールが別途必要であることが発覚、TPMモジュールを増設するついでに、少し動きが怪しかったのでクリーンインストールしてしまおう、なんならばもう少しストレージ周りを増強しよう。

こうして組み上がったのが現在の新2号機(2nd PC model 21.4i)である。

2nd PC model 21.4i
CPUXeon Gold 5320×2
26-core/52-thread, 2.20GHz/Boost 3.40GHz, TDP185W
M/BSuperMicro X12DAI-N6-O
GPUNVIDIA RTX A4000
memoryDDR4-2933 Registred DIMM 32GB×16
SSDIntel Optane SSD DC P4800X 375GB
WD Black AN1500 4TB
Plextor M10P 2TB
CFD PG4NZ 2TB
HDD東芝 MD04 series 4TB + 6TB
ケースDefine 7 XL



WD Black SN850はM.2スロット周りの冷却が怪しく、またヒートシンクを増設するにしても他のカードと干渉するため取り外し、他のPCへ転用予定とした。

・・・メモリの周波数が“Haswell-EP”から転用したには高すぎる? 当初は“Haswell-EP”で用いていたDDR4-2133 RDIMM 8GBを使用し、後々に3号機・4号機が退役したときにDDR4-2666 RDIMM 16GBを転用する計画を立てていたが・・・ケースがデカくて重く、後から開けてメモリを転用するのが面倒・・・もとい困難と判断したため、新しいものを導入した。

結局“Haswell-EP”から流用したのはHDDだけである・・・。

Ice Lake-SP 2 (2022年9月19日)

マザーはこんな感じ。
SocketはLGA4189であるが、見た目的にはLGA3647マザーとそれほど変わらない。Socketを覆うカバーの形状が若干変更されたのと、メモリが8ch対応となり、その分スロットが増えたのが目にわかる相違点だ。

Ice Lake-SP 3 (2022年9月19日)

Technologyの項目の“10nm”が輝いている。

ちなみに“Ice Lake-SP”はXCCと呼ばれるD2 steppingとHCCと呼ばれるM1 steppingの2種類のダイがある。Xeon Gold 5320はHCCと呼ばれるM1 steppingのダイを用いた製品では最もコア数の多いモデルである。28-core以上はIntel Arkで確認した限りではD2 steppingのXCCのダイとなっていた。

そして性能確認もかねてベンチマークも回したのだが・・・だいぶ癖があるPCに仕上がってしまい、ULのベンチマークで妙なエラーが出てしまい、怪しい数字となってしまった。また、Blenderはそれ以前の問題でインストーラーが落ちるため実行不可能だった。

一応、できた範囲でのベンチマークスコアを下記に掲載する。

Xeon E5-2680 v3
Haswell-EP
Xeon Gold 5320
Ice Lake-SP
CPU-ZSingleN/A405.0
MultiN/A19293.1
CineBench R15OpenGL101.30235.48
CPU singleN/A171
CPU Multi32876516
CineBench 20CPU723818398
CPU single289420
CineBench 23CPUN/A50701
CPU singleN/A1094
PCMark 1047224209
Essentials60955726
Productivity47183953
Digital Content Creation73628941
3DMark
TimeSpy
573010468
Graphics573010007
CPU799014171
3DMark
FireStrike
1483119118
Graphics1689626280
Physics1649822851
Combined71715813
FFXV Benchmark863014090
ちはやローリング1649938 / 仙台2045058 / 札幌


エラーが出たULのベンチマーク・・・とりわけPCMark 10の数字は当てにならなそうだが、Time SpyとCombiledを除くFire Strikeの数字くらいは参考になるだろうか。過去の全台測定でも、XeonやEPYCのような多コアCPUがRyzen 9 3950XやCore i9 10900に下克上を食らっており、3DMarkは単純にコア数が多ければ良いというわけでもなく、むしろ多コアCPUの周波数の低さが足を引っ張ってしまっている印象だ。

CineBenchのMulti-coreのスコアとなるとやはり物量で圧倒できるようだ。Single-coreの微妙さはやはり周波数の低さが原因か。

ちはやがこれまた微妙なところに着地した。ちなみに最近のコンシューマ向け上位CPUだとたいていシベリア送りになってしまっている(かわいそう)

・・・なんというか、結論に困る結果となってしまった。記録として残した、以上の何物でもない。

あまり使えるデータではないだろうが、今回出したベンチマークの数字は良識の範囲でご自由に使っていただいてかまわない。

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コメント
この記事へのコメント
190539 
北森さん怖すぎる…このPC構成は逸般の誤家庭のお手本ですw
2022/09/19(Mon) 20:34 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190540 
しかして現在冷えれば消費電力とターボでいかようになるともいえる状況になってきてますが
2022/09/19(Mon) 20:36 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190543 
かわいい見出しで怖い話をするのやめてくれません?
2022/09/19(Mon) 23:13 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190546 
また不遇なの出してきたわ
2022/09/20(Tue) 00:11 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190547 
オプたんだ!オプたんがいる!
2022/09/20(Tue) 00:37 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190553 
感想
・おっ!ついにIce Lake-SPのレビューが!
・え・・・何これ怖い・・・
・自作PCじゃなくて自作HPCの間違いじゃないですかね・・・
・あぁ、スコア見るとやっぱり不遇CPU
・AlderとRaptorもCPU-Zなら10nmやから(震え声)
・ところで52core512GBメモリの用途は?
2022/09/20(Tue) 08:22 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190557 
ちょっとトッピングしてみたみたいなノリで怖い人の構成・・・
2022/09/20(Tue) 09:28 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190559 
やべえよやべえよ…
いやはやマルチのスコアは流石だなぁ
2022/09/20(Tue) 13:42 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190562 
32GBx16には恐れ入ったw
2022/09/20(Tue) 14:43 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190610 
>今回出したベンチマークの数字は良識の範囲でご自由に使っていただいて

スペックがPCの範囲を若干超えてて、ご立派すぎて他で用途が一切思い浮かばない件
2022/09/21(Wed) 13:34 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190617 
よく見たらメモリの量が私のノートのストレージより容量多いw
2022/09/21(Wed) 17:19 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190631 
> “Alder Lake”以前の10nm世代
Atom P5000 (Snow Ridge)、C5000 (Parker Ridge)、NNP-I I1000 (Spring Hill)…これはディスコンか、Intel Agilex FPGA、Xeon D…これはIce Lakeか…。確かに自作向けではないかー。
2022/09/21(Wed) 23:33 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190652 
おかしいなぁこれ普通のパソコンの価格じゃないぞ。
桁が1つ2つ違うぞぉ???
2022/09/22(Thu) 13:00 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190653 
あの、参考までにトータルのお値段は…
2022/09/22(Thu) 13:08 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190679 
流通在庫さえあれば、ファンとPSU足しても300万で収まるのかな?メモリも今は高くないし…。
OPTANE SSDがオークション頼みになるかもだが、実勢価格的には、CPUx2(163)+メモリ(51)+OPTANE(14~26)でコストの8割を占めてる。…だから、それ以外のパーツが見劣りしてる感がある。
…あと、設置というかサーバー用ファン騒音対策コストが気になるところ。いくらDefineの筐体に収まるといっても、フル稼働時のサーバー用ファンx2の騒音は防ぎきれない気がするのだが。
2022/09/23(Fri) 18:18 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190688 
車買えますね…
2022/09/24(Sat) 00:38 | URL | LGA774 #-[ 編集]
190698 
おぉやるじゃんと思ったけど2ソケットか。
CineBench23 5万点て最近のワークステーションというかRyzenTRだと
1ソケットで達成できてしまうし、2ソケットは謎に動かないソフトがあるんだよな。
しっかり安売りされててコスパが悪くないのは面白いけどね。

しかし1ソケットで使うと5950Xとか12900Kみたいなメインストリームのハイエンドと差がないし、
お店の人も売るのに困りそうな仕上がりだ。
動かなかったBlenderCyclesだけでよければ(ライセンス代の負担がないので)
自前ネットワークレンダリングがコスパ最強なのも厳しくて
コンピューティング資源としてはもはやサーバー向けは微妙なところがあるな。
サーバー向けもドカ食いCPU増えてるのもそこらへんが理由だろうか。
2022/09/24(Sat) 06:52 | URL | LGA774 #-[ 編集]
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