北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
Details for Result ID 2x Intel(R) Xeon(R) Platinum 8454H (32C 64T 2.1GHz/3.4GHz, 32x 2MB L2, 82.5MB L3)(SiSoftware Official Benchmark Ranker)
午前0:34 · 2022年11月1日(188号@momomo_us)

“Sapphire Rapids-SP”世代のXeon Scalable Processor―Xeon Platinum 8454Hの2-wayシステムがSiSoftware Official Benchmark Rankerに10月31日付けで登録されている。

“Sapphire Rapids-SP”のラインナップは7月上旬頃よりYuuki_Ans氏が時折取り上げており、Xeon Platinum 8454Hもその一覧の中に含まれていた。
 
Xeon Platinum 8454H (2022年11月2日)

今回SiSoftware Official Benchmark Rankerに掲載されたXeon Platinum 8454Hは32-core/64-threadのもので、周波数は2.10GHz / Boost 3.40GHz、キャッシュ構成はL2=2MB×32 / L3=82.5MBとなっている。

周波数はズレがあるものの、コア数に関しては7月上旬のYuuki_Ans氏の情報と合致している。

L3 cache容量は今回初めて出てきたものであるが、“Sapphire Rapids”の基本的なキャッシュ構成はL1 Inst = 32KB/core, L1 Data = 48KB/core, L2 = 2MB/core, L3 = 1.875MB×coreとなる。ただし、L3 cacheについてはこれまでのXeon SPでもみられたように、無効化されたコアのL3 cacheを使用して、L3 = 1.875MB×coreよりも多い容量を確保することが出来る。

Xeon Platinum 8454Hにおいても同様のことが行われており、32-coreではあるが、L3 cacheは44-core分が用いられている。もし、32-core分のみのL3 cacheを使用していた場合はL3 = 60MBとなるはずだ。

また44-core分のL3 cacheを用いていることから、Xeon Platinum 8454HはおそらくXCCのダイ(15-core×4ダイ構成)をベースにしているものと推定される。



Yields of Intel Sapphire Rapids Processors Are Low, Mass Production to Start in 1H2023(techPowerUp!)
Delay in Mass Production of New Intel Products a Boon for AMD, Proportion of AMD x86 Server CPUs Forecast to Exceed 22% in 2023, Says TrendForce(TrendForce)

声はすれども姿は見えず・・・という状況が長く続いてしまっている“Sapphire Rapids”であるが、あまり良くない話が出てきてしまっている。それは“Sapphire Rapids”のイールドが低いというものだ。

“Sapphire Rapids”は既に複数回の遅延を引き起こしている。“Sapphire Rapids”の製造プロセスであるIntel 7はクライアント向けCPUにおいてはIntelに新しい優位性をもたらし、大幅な性能向上を成し遂げた。
しかし、TrendoForceの報道によると、“Sapphire Rapids”の大量生産は2022年第4四半期から2023年上半期にずれ込むという。この遅延の理由であるが、“Sapphire Rapids”のMCCダイのイールドが低く、現時点で50~60%にとどまってしまっているからだという。このイールドの数字はIntelにとって利益の出るものではなく、多くのダイが欠陥品として弾かれてしまうことを意味している。


メインストリームとなるはずの“Sapphire Rapids”のMCCダイのイールドが悪いという報道が成されている。“Sapphire Rapids”のMCCダイについての情報は多くはないが、15-core×4ダイ構成のXCCダイとは異なり、モノリシックなダイであると推定されている。

また、10月のIntel Innovation 2022で“34-core Raptor Lake-S”なるウエハが展示されており、そのダイがどう見てもXeon SP系のメッシュ構成のダイであったため、これが“Sapphire Rapids MCC”ではないかという見方がある。
Angstronomicsの考察によると、この“34-core Raptor Lake-S”のダイサイズは“Ice Lake-SP”のXCC(40-core)よりも大きく、770mm2に達するという。770mm2は露光サイズの限界に近い数字で、MCCとはなんぞや? となる数字だ。

今回の“Sapphire Rapids”の低イールド問題には15-core×4のXCCの状況については触れられていない。4つのダイを使用する必要はあるが、15-coreのダイはMCCのダイ1つよりも小さいはずだ。また遅延の原因がMCCの低イールドに起因し、一方のXCCが順調であるならば、EMIB等のパッケージ周りが問題である可能性は除外でき、他のEMIBを使用する製品についても少し安心できそうだ。

しかし、この報道が正しいとすると、XCCよりもデカいモノリシックダイのMCCが足を引っ張っていることになり、なんともやりきれない思いになる。

PCI-ExpressなどのI/Oやメモリコントローラが減少してしまう―具体的にはメモリコントローラは8ch DDR5から4ch DDR5に、PCI-Expressも半分(80レーンから40レーンに減少?)になるものの、Xeon Silver以下に使用すると割り切ってXCCに使われている15-coreのダイを2個使用したものを新MCCとして使用してはどうかなどと素人的には思ってしまう。Workstation向けについてもWorkstation ExpertはXCC、Workstation MainstreamはMCCとプラットフォームが分かれるようなので、こちらの方がよりI/Oやメモリコントローラの相違は問題になりにくい。

下位のダイのイールドの悪さに足を引っ張られて、SKU全体が遅れる・・・といのはあまり褒められたものではない。

(過去の関連エントリー)
“34-core Raptor Lake-S”に関する考察(2022年10月3日)
【怪情報】“Sapphire Rapids-SP”のラインナップ?(2022年7月9日)

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コメント
この記事へのコメント
191600 
MCCがこの大遅延の真犯人なら上位SKUだけでも先行発表できるというか対AMDや事業状態からせざるを得ないと思うんですよね

これまでBroadwellやPrescottを超えるステッピング変更の原因は脆弱性対応だの500以上のエラッタのせいと言われてましたが・・・

Intel 7はiGPUの歩留まりが悪いという話なので、アクセラレーター周りに問題があるんじゃなかろうか

それにしてもXeon-SP系の開発遅延はCascade Lake(メルトダウン)以降悪化の一途でしたが、Sapphire RapidsはかのTukwila大帝を思い起こさせるグダり様です
2022/11/02(Wed) 05:21 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191601 
早々に不良品を下位モデルで売ったりするとAurora方面から怨嗟の呻きが上がってくるんじゃあるまいか…
2022/11/02(Wed) 05:34 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191602 
そんなデカいダイの歩留りが50~60%ってそんな悪い数字とは思えん
もっと悪いか別の問題発生してんじゃないかね
2022/11/02(Wed) 07:12 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191611 
書類上はXeon史上最速で100万出荷してるらしいが、届くの2年後とかになりそうな悪寒
2022/11/02(Wed) 10:41 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191615 
どうりでMCCの情報が全然こなかったわけだ
2022/11/02(Wed) 12:25 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191624 
44-coresから伸びないのもなあ・・
2022/11/02(Wed) 18:49 | URL | LGA774 #-[ 編集]
191625 
やはりGoldenCove系列は本来Intel4(というか旧Intel7nm)を前提にしていたのだと思う。現状は、RocketLakeを14nmで作ったのと、基本の構図は変わらん。まぁ既に10nmでリリースした新世代アーキをわざわざバックポートしたのに比べればだいぶましだが。
2022/11/02(Wed) 20:44 | URL | LGA774 #9zOzYU0I[ 編集]
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