北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
Phenix Point family(All The Watts!@All_The_Watts)

Ryzen 7000X3Dの価格の情報など、最近になってAMDに関する情報を投稿しているAll The Watts!@All_The_Watts氏であるが、“Zen 4”世代のAPUである“Phoenix Point”についても触れている。

それによると“Phoenix Point”は2種類があるようだ。“Phoenix Point”の略称として“PHX”が使われており、2つの“Phoenix Point”は“PHX”と“PHX2 (Phoenix Point 2?)”と呼ばれている。

共通点としてどちらもTSMC N4で製造されること、CPUは“Zen 4”世代であること、GPUはRDNA 3世代であることがある。その上でいくつかの相違点がある。
 


PHXはよく知られていた方のものだ。8-coreの“Zen 4”と6 WGPのRDNA 3で構成される。TDPは15~35Wである。ただし、“Phoenix Point”に搭載される“Zen 4”のL3 cache容量は8-coreのCCXあたり16MBと、“Raphael”や“Genoa”の32MBから1/2に減らされている。

そして新しく出てきたのがPHX2である。PHXよりも規模を小さくしたものであるが単純にCPUとGPUのコア数を縮小したものではない。先にGPUであるが2 WGPのRDNA 3でPHXの1/3の規模である。GPUは単純に縮小した形といってかまわない。興味深いのはCPUである。CPUは2-coreの“Zen 4”と4-coreの“Zen 4c”からなる。“Zen 4”はPHXに搭載されているものと同様だが、“Zen 4c”はL3 cache容量が“Raphael”や“Genoa”の“Zen 4”の1/4、“Phoenix Point”のそれの1/2に減らされている。CCXあたりでは8MBとなる。一方でL2 cacheは1MBが維持される。また“Zen 4c”の周波数は“Zen 2”程度に抑えられるとあり、“Zen 4c”は省電力寄りの設定がなされているようで、“Zen 4”をPerformance Coreとするなら、“Zen 4c”はEfficient Coreの立ち位置となるようだ。

比較したものが以下である。

PHXPHX2
製造プロセスTSMC N4
CPU8-core Zen 4
(L2=1MB/core, L3=16MB (2MB×core))
2-core Zen 4
(L2=1MB/core, L3=4MB (2MB×core))
4-core Zen 4c
(L2=1MB/core, L3=4MB (1MB×core))
GPU6 WGP (12 CU) RDNA3 (GC 11.0.1)2 WGP (4 CU) RDNA 3 (GC 11.0.4)
メモリDDR5-5200, LPDDR5X-7500
TDP15-35W+15-28W


順序としてはまずPHXが出てきて、その後PHX2が出てくるようだ。またPHXの方はSocketAM5向けに2023年下半期に出てくるようだが、この時点ではOEM向けでリテール向けに出てくるかどうかは不明である。PHX2はそもそもSocketAM5向けがあるのかどうか不明のようだ。

なかなかにして奇抜な情報であるが、話としては面白い。

“Zen 4c”は128-coreのEPYC―“Bergamo”で用いられ、その“Bergamo”は高密度サーバー向けと位置づけられている。

第4世代EPYCのGenoaとBergamoの違いはL3の容量 AMD CPUロードマップ(ASCII.jp)

今週のASCII.jpに掲載された大原氏のコラムでもちょうど“Bergamo”について触れられており、AMDから“Zen 4c”は“Zen 4”のL3 cacheを減じたものと説明されたとある。具体的にどれほどとまでは流石に明らかにされなかったようだが、大原氏は8-core CCXあたり8MBと予想している(1MB×8-core)。今回の“PHX2”の“Zen 4c”のL3 cacheも4-coreで4MBとなっており同じ1MB×4-coreとなっているのは興味深い。
また“Bergamo”はTSMC N4での製造であることも明らかにされている。“Phoenix Point”もTSMC N4での製造であり、多数ChipletのEPYCとモノリシックないしは少数ChipletのAPUという違いはあるが、“Zen 4c”を“Phoenix Point”に入れることは確かに無理な話ではないように見える。

“Phoenix Point”がChipletなのかモノリシックなのかは今回の情報でもぼやかされている。そもそもこの情報があってるのか・・・という話に帰結してしまうが、噂の1つとしては興味深い。

IntelのMobile向けは全てHybrid Architectureとなっているが、AMDの“Zen 4”世代のMobile向けは高性能コアのみの製品とHybridを採用した製品の2段構えとなるのかもしれない。

パソコン工房のお得なキャンペーン



コメント
この記事へのコメント
192283 
発売までが遅すぎる…もっと早く出せないものか…
2022/12/07(Wed) 06:45 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192286 
モノリシックな“Phoenix Point”が待ち遠しい
A620チップセットかX600みたいなマザーが出たら大人買いしてしまう、5700Gで揃えたばかりなのに
ついでにAMDさん、モノリシックな10コアとか挑戦しませんかね
2022/12/07(Wed) 08:45 | URL | 名無しです #-[ 編集]
192289 
軽い作業をダラダラやる分にはキャッシュ少なくても良さそうだからありなのかな?
2022/12/07(Wed) 10:07 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192290 
このアカウントもとGreymonっぽいと推察。
Phoenix2はコスパ重視のMendocinoの後継かな
2022/12/07(Wed) 10:16 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192294 
この話が本当ならばZen5世代でZen4Cが統合される予定が、予想より早い段階で統合が来るのね…
2022/12/07(Wed) 12:49 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192296 
つまりzen4cは単にキャッシュを減らしただけだと
であれば積層してひっくり返してしまうという手があるな
2022/12/07(Wed) 14:52 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192299 
ミニPCとかUMPCに使われたりでRyzen6000シリーズ搭載のノート種類少なすぎる
2022/12/07(Wed) 21:48 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192300 
Eコア相当がPコア相当からキャッシュ減らしただけならIntelよりEコア強そう
2022/12/07(Wed) 22:25 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192302 
>192283
今まで出ていた話では2025年予定の"Zen5"登場時に"Zen4c(Zen4D?)"をハイブリッドする予定だったので
このうわさが本当ならば"Zen4+Zen4c"ではあるけどハイブリッド版の投入予定が2年ぐらい早まっている
2022/12/07(Wed) 23:07 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192303 
LIFEBOOK UHでRyzen 6800U来たら買いまくってた
2022/12/08(Thu) 01:01 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192318 
無学な俺の発想としては、キャッシュが少ないCoreと多いCoreとが共存するならば、キャッシュがより少ないCoreの方がヒットしないデータの問い合わせでラストのキャッシュやDRAMへのアクセスが増えるのでは?するとCPU内ではラストの共有キャッシュがメインのCoreより沢山参照されて、DRAMすらも沢山参照されて、そのトラフィックのために強い方のCoreが逆に待たされるタイミングが出来るという事はないか。
intelの場合は重要タスクとそれほどでもないタスクとをどうして居るかは不明だが判別して、2種類のCoreに賢く割り振ってますという謳い文句だった記憶が。その作業のためにある程度(ゲームなどの)過去互換性が切れた云々。
だがこの推測記事の内容には「賢い仕掛け」が何も記載ない。そこがちょっと気になる。まぁ、キャッシュ量の違うCoreというだけなら(不具合でたら)ZEN4に切り替えれば良いんだし、大きな問題じゃないかも知れないが。
2022/12/08(Thu) 12:56 | URL | 名無しさん #-[ 編集]
192323 
>192290
最近見ないなと思ってたけど、Greymon55の旧アカBANされてたのか
2022/12/08(Thu) 16:36 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192325 
> 192296

L3を減らした設計にしてもX3Dで96MBか128MB(N4なので増えるよな)貼り付ければ、このクラスだと電力や放熱、コストは問題にならないということですね、PHX3かな
X3DはDDR5だから活きる技術だと思う(本音は「何でもいいから早く出せ」)
2022/12/08(Thu) 17:09 | URL | 名無しです #-[ 編集]
192327 
Alder,Raptorでいままで優位に立っていたマルチスレッドを逆転されましたからね…前倒ししたい気持ちはわかる
2022/12/08(Thu) 19:00 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192332 
Zen4cコア1個でEコア3個分くらいの性能が出そう
いずれCCDも4+12みたいになるのかねぇ
2022/12/08(Thu) 20:40 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192336 
>192318
同じ条件ならばコアの動作クロックが半分のときキャッシュやDRAMアクセス要求も半分であることを期待して良いと思うが。
2022/12/09(Fri) 01:38 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192349 
>192318
言ってることは概ね合ってるけどたぶんPHX2はローエンドまたは低消費電力向けだからキャッシュのヒット率とかをそこまで気にしない作業向けだと思います。
2022/12/09(Fri) 08:37 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192353 
>192318
その理論ならば"Alder Lake"や"Raptor Lake"の消費電力が増大していないとおかしくなるけどその話は聞かない
元々ハイブリッド構成はE-Coreに低負荷処理をさせるためだから、気にすることでもないでしょう
2022/12/09(Fri) 10:25 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192388 
以前噂されていたZen4DがZen3級の性能らしいから、Zen4cも同等だと仮定すれば今すぐ出さないと性能的優位がすぐに終わりそう。
GracemontがSkylake以上Zen2匹敵なのを考えるとCrestmontでZen3級まで上げてくる可能性がある。面積はCrestmontの方が小さいだろうから、Zen4cは下位互換になりかねない。
2022/12/10(Sat) 12:22 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192423 
よくGracemontとSkylake比較してる人いるけどIntelが2コアのSkylakeと4コアのGracemontを比較してる時点でいろいろ察するべきだと思います。
2022/12/11(Sun) 15:35 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192436 
>192388
Zen4DがZen3級の性能ってのがZen3@5GHz並みなのとIPCがZen3と同程度なのとで全く意味違うけど
Zen4cの後継でN7→N3ならば前者で確定だろう
2022/12/12(Mon) 00:04 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192439 
>192388
それ「同じ消費電力の枠組み内で動かした場合は」という前提がつくよ
Zen4Cに関しては現時点で動作電圧・クロックともにわからない。
この話も存在するかわからない噂以上の話はないので何も語れることはないよ

あと「Zen4DがZen3級」もどんな動作条件下なのかがさっぱりなので特に比較できるものはないよ
2022/12/12(Mon) 15:05 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192440 
iGPUがRDNA3だとAI処理出来るので、大容量のメインメモリを使った特定用途には良かったりするかもですね。
例えば、VRAM24GBでは全然足りない高解像度の画像の学習とか。
2022/12/12(Mon) 15:05 | URL | LGA774 #mQop/nM.[ 編集]
192454 
>192318
キャッシュ容量が非対称なことと重要なタスクにDRAMアクセス権を優先することは別じゃないのか?
重要なタスクが分かるなら、コア種に関わらずDRAM優先権を与えればいいし、そもそもタスクを高性能コアに割り当てればよい。分かるがどうかがすべて。
キャッシュ容量を制限するのは電力効率と製造コスト改善のためかと。
2022/12/13(Tue) 14:01 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192485 
>192436
>192439
全て噂話だからあまり大々的には言えないが、IPCがZen3級らしい。
プロセスもN5らしいから、消費電力ダウン以外は特に期待できない。
https://gazlog.com/entry/zen5-ccd-zen4d-16core/
2022/12/14(Wed) 12:04 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192486 
>192423
あれはあくまでも数字を大きく見せるための宣伝みたいなものだから、真に受けるべきじゃない
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hothot/1384533.html
4コア同士の比較ならここにある
2022/12/14(Wed) 12:08 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192492 
PHXにしてもPHX2してもモノリシックにしておいて、CCD一個でも接続できるインターフェイス用意しておけば、色々発展できていいのにな
低負荷時はCCDの電流遮断するとか、L3キャッシュもAPUに貼り付けられなければCCDに貼り付けるだけだし...、とっくにAMDは考えているって?失礼しました
2022/12/14(Wed) 14:33 | URL | 名無しです #-[ 編集]
192502 
>192485
消費電力のダウンが目的なのだから性能が必要ならコアを増やすだけでは?
プロセスが分かっている時点で性能はほぼ予測できてしまう。
IntelだろうがAMDだろうが普通はミラクルは無いよ。
2022/12/15(Thu) 02:56 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192533 
>192486
それ見たんですけど4コアどうしじゃなくて1コア残ったPコア含めて5コアとsky lakeの4コアがいい勝負にしか見えないんですよね
2022/12/16(Fri) 09:17 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192534 
補足
テスト中はEコアのみに割り当てるというように書いてありますがSkylakeが4コアでWindows動かしながらテストしてるのに対してPコアでwindowsを動かしながらEコアはベンチマークアプリに専念できるためシングルはともかくマルチはskylake不利だと思います。
あくまで素人考えですが。
2022/12/16(Fri) 09:32 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192536 
>>192485
そこにある通りに「クロックなどが下がって」とあるじゃん
既報ではキャッシュ減確定しているし、機能削減ならば当然HTTのような機能は削減だろうし、
さらにクロック下げて運用だから当たり前にIPCは下がるけど、全体的にどういう条件下でどのクラスの「Zen3並み」かは一言も書いていない
他の人も書いているが定格Zen3とE-core化して、クロック及び機能削減したZen4Dが同じなのかもしれない
2022/12/16(Fri) 09:42 | URL | LGA774 #-[ 編集]
コメントを投稿する(投稿されたコメントは承認後表示されます)