北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
2023 Q3(HXL@9550pro)
Mainstream WS(HXL@9550pro)
Expert Workstation 1S(HXL@9550pro)
Expert Workstation 2S(HXL@9550pro)

HXL@9550pro氏が“Sapphire Rapids”をベースとする来年のワークステーション製品のラインナップの情報をTwitterに投稿している。

これまでの情報で知られているとおり“Sapphire Rapids”をベースとするワークステーションはExpert Workstation、Mainstream Workstationの2種類に大別され、さらにExpert Workstationは2 socketシステムのもんと1 socketシステムのものが用意される。

Expert Workstationの2 socketシステムは概ねサーバー向けの“Sapphire Rapids-SP”を持ってきたものである。1 socketシステムはXeon W 3000 seriesとして展開されてきたもので、“Sapphire Rapids”の世代ではXeon W 3400 seriesとなる。
Mainstream Workstationはその下のXeon W 2000 seriesとして展開されてきた製品群で、“Sapphire Rapids”ではXeon W 2400 seriesとなる。

Xeon W 3400, W 2400 seriesのラインナップについてはこれまでにも散発的に情報が出てきていたが、今回のHXL@9550pro氏の情報はかなりまとまったものである。
以後順に見ていきたい。
 


◇Mainstream Workstation



Mainstream Workstationに使われるCPUは“Sapphire Rapids-64L”と呼ばれる。64LはPCI-Express 5.0の本数を示しており、64本のPCI-Express 5.0がCPUから出る。Socketは“Sapphire Radpis”共通のLGA4677、Processor Base Powerは最大225Wとなる。

“Sapphire Rapids-64L”のラインナップは以下の通りである。

Xeon W 2400 (Sapphire Rapids-64L / Intel 7 / LGA4677)
コア数
スレッド数
周波数キャッシュTDP
メモリPCIe 5.0
Xeon
W7-2495X
24-core
48-thread
2.50GHz
TB 4.80GHz
L3=45MB225W'23/3
4ch DDR5-480064
Xeon
W7-2475X
20-core
40-thread
2.60GHz
TB 4.80GHz
L3=37.5MB225W'23/3
4ch DDR5-480064
Xeon
W5-2465X
16-core
32-thread
3.10GHz
TB 4.70GHz
L3=33.75MB200W'23/3
4ch DDR5-480064
Xeon
W5-2455X
12-core
24-thread
3.20GHz
TB 4.60GHz
L3=30MB200W'23/3
4ch DDR5-480064
Xeon
W5-2445
10-core
20-thread
3.10GHz
TB 4.80GHz
L3=26.25MB175W'23/3
4ch DDR5-480064
Xeon
W3-2435
8-core
16-thread
3.10GHz
TB 4.50GHz
L3=22.5MB165W'23/3
4ch DDR5-440064
Xeon
W3-2425
6-core
12-thread
3.00GHz
TB 4.40GHz
L3=15MB130W'23/3
4ch DDR5-440064
Xeon
W3-2423
6-core
12-thread
2.10GHz
TB 4.20GHz
L3=15MB110W'23/3
4ch DDR5-440064


既報通り最大コア数は24-coreである。今回の情報には明記されていないが、過去の情報通りであればXeon W 2400 seriesはMCCと呼ばれるダイをベースとするはずだ。メモリコントローラは4ch DDR5-4800までの対応で、最大2TBを搭載できる。

末尾“X”のモデルは倍率ロックが解除された仕様である。そして興味深いことに“Boxed”の項目にもチェックが入っており、リテールパッケージでの販売の可能性が示されている。もし、倍率ロック解除仕様の“X”モデルがリテール市場に出回るならば、Xeon W seriesがCore Xが担っていたHEDT市場を担うというのもあながち間違いではなさそうだ。またかつてX79やX99にXeon E5が載せられたように、HEDT向けのW790マザーにXeon SPを載せることも出来るかもしれないが、PCI-Expressレーン数の違いやメモリチャネル数の違いがあるため、X79やX99の時のように簡単に載せられるかどうかはまだわからない。

そのW790チップセットだが“Sapphire Rapids-64L”と次で取り上げる“Sapphire Rapids-112L”と組み合わされるチップセットである。W790チップセットは以下のI/Oを備える。

    Intel W790
  • PCI-Express 4.0:最大16本
  • PCI-Express 3.0:最大12本
  • SATA 6.0Gbps;最大8ポート
  • USB 3.0 (20Gbps):最大5ポート
    USB 3.0 (10Gbps):最大10ポート
    USB 3.0 (5.0Gbps):最大10ポート
  • Intel WiFi 6E (Garfield Peak 2) を内蔵
    別チップでIntel WiFi 6E (Typhoon Peak 2) を載せることも可能
  • EthernetコントローラとしてI219-LMないしはI225-LMを使用


W790は38本の高速I/Oレーンを有しており、これをPCI-Express 4.0, 3.0やUSB 3.0、SATAに適宜振り分ける形となる。



◇Expert Workstation 1S



1-socketシステムのExpert Workstation向けは“Sapphire Rapids-112L”と呼ばれ、112本のPCI-Express 5.0がCPUから出る。Xeon W 3400 seriesとして展開され、最大コア数は56-core、メモリコントローラは8ch DDR5-4800までに対応し、最大容量は4TBである。SocketがLGA4677である点、組み合わされるチップセットがIntel W790である点はMainstream Workstationと同様である。
“Sapphire Rapids-112L”ことXeon W 3400 seriesのラインナップは以下の通り。

Xeon W 3400 (Sapphire Rapids-112L / Intel 7 / LGA4677)
コア数
スレッド数
周波数キャッシュTDP
メモリPCIe 5.0
Xeon
W9-3495X
56-core
112-thread
1.90GHz
TB 4.80GHz
L3=105MB350W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W9-3475X
36-core
72-thread
2.20GHz
TB 4.80GHz
L3=82.5MB300W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W7-3465X
28-core
56-thread
2.50GHz
TB 4.80GHz
L3=75MB300W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W7-3455
24-core
48-thread
2.50GHz
TB 4.80GHz
L3=67.5MB270W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W7-3445
20-core
40-thread
2.60GHz
TB 4.80GHz
L3=52.5MB270W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W5-3435X
16-core
32-thread
3.10GHz
TB 4.70GHz
L3=45MB270W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W5-3433
16-core
32-thread
2.00GHz
TB 4.20GHz
L3=45MB220W'23/4
8ch DDR5-4400112
Xeon
W5-3425
12-core
24-thread
3.20GHz
TB 4.60GHz
L3=30MB270W'23/4
8ch DDR5-4800112
Xeon
W5-3423
12-core
24-thread
2.10GHz
TB 4.20GHz
L3=30MB220W'23/4
8ch DDR5-4400112


Xeon W 2400 series同様末尾“X”のモデルは倍率ロック解除仕様である。そして最上位のXeon W9 3495X以外は“Boxed”の項目にチェックが入っており、こちらもリテール市場での流通の可能性を示している。最上位のXeon W9 3495Xの“Boxed”の項目にチェックがないのは、価格が価格だけに在庫販売は難しいという理由だろうか?



◇Expert Workstation 2S



Expert Workstationの2-socket版であるが、Xeon Scalable Processorのうち、Xeon Platinum 8400 seriesの一部を転用したような構成である。そのため、その構成はXeon Scalable Processorのそれに限りなく近い。2-socketの“Sapphire Rapids-SP”はそれぞれ80本のPCI-Express 5.0と8ch DDR5-4800まで対応のメモリコントローラを搭載する。対応するチップセットはIntel C741でこれもサーバー向けのChipsetを持ってきたものであろう。

CPUのラインナップは以下の通りである。

Xeon W 3400 (Sapphire Rapids-SP / Intel 7 / LGA4677)
コア数
スレッド数
周波数キャッシュTDP
メモリPCIe 5.0
Xeon
Platinum
8480+
56-core
112-thread
2.00GHz
TB 3.80GHz
L3=105MB350W'23Q1
8ch DDR5-480080
Xeon
Platinum
8470
52-core
104-thread
2.00GHz
TB 3.80GHz
L3=105MB350W'23Q1
8ch DDR5-480080
Xeon
Platinum
8468
48-core
96-thread
2.10GHz
TB 3.80GHz
L3=105MB350W'23Q1
8ch DDR5-480080
Xeon
Platinum
8462Y+
32-core
64-thread
2.80GHz
TB 4.10GHz
L3=60MB350W'23Q1
8ch DDR5-480080
Xeon
Platinum
8460Y+
40-core
80-thread
2.00GHz
TB 3.70GHz
L3=105MB300W'23Q1
8ch DDR5-480080
Xeon
Platinum
8452Y
36-core
72-thread
2.00GHz
TB 3.20GHz
L3=67.5MB300W'23Q1
8ch DDR5-480080


Xeon Platinum 8400 seriesのラインナップの一部が明らかになった格好となる。Xeon Scalable Processor向けとしてはさらにこの下にXeln Gold 6400, 5400 series、Xeon Silver 4400 series、Xeon Bronze 3400 seriesがラインナップされるだろう。

また今回の情報で各“Sapphire Rapids”のメモリチャネル数とPCI-Expressレーン数も明らかになった。

ダイメモリコントローラPCI-Express
Sapphire Rapids-SPXCC8ch DDR5-4800 Max 4TBPCI-Express 5.0 ×80
MCC
Sapphire Rapids-112LXCC8ch DDR5-4800 Max 4TBPCI-Express 5.0 ×112
Sapphire Rapids-64LMCC4ch DDR5-4800 Max 2TBPCI-Express 5.0 ×64


やや情報が錯綜気味だったのが“Sapphire Rapids-SP”のPCI-Expressレーン数であるが、今回の情報により少なくともXCCのダイを使用するモデルについては80レーンであることが判明した。前例を踏まえれば“Sapphire Rapids-SP”であればMCCのダイを使用するモデルもXCCと同等のメモリコントローラとPCI-Expressレーンを備えるはずだが、今回の場合XCCは4ダイMulti-chip-module、MCCはモノリシックと構造が全く異なるため、一応不明としている。“Sapphire Rapids-64L”の仕様がMCCダイの最大仕様である可能性はまだ否定し切れていないからだ。

C741チップセットについてはDMI Gen 3 x8で接続される。高速I/Oは20本有しており、PCI-Express 3.0を最大20本・USB 3.0 (5.0Gbps) を最大10本・SATA 6.0Gbpsを最大20ポートの枠内で振り分けることが出来る。



◇ロードマップ



最後にロードマップである。2023年第4四半期までのロードマップが記されている。

Xeon Scalable Processorと同じプラットフォームとCPUを使うExpert Workstation 2Sについては、2023年第4四半期に“Emerald Rapids-SP”が投入されるが、Expert Workstation 1SとMainstream Workstationは“Sapphire Rapids-112L / Sapphire Rapids-64L”のまま推移する。これらに2024年以降“Emerald Rapids”がもたらされるかどうかは不明である。“Emerald Rapids”は1S/2Sのみで4S以上には提供されないという情報が以前に出ており、“Sapphire Rapids”ほど“Emerald Rapids”が広く展開されない可能性は高い。そのためWorkstation向けの“Emerald Rapids”が用意されるかどうかは未知数である。“Ice Lake-SP”をベースとする“Ice Lake-64L (Ice Lake-W)”がXeon W 3300だけにとどまり、Xeon W 2300に相当するものがなかったように、一部分のみの展開あるいはそもそもラインナップされない可能性もある。

本題のワークステーションの話はここまでである。かなり盛りだくさんの内容であり、またようやく“Sapphire Rapids”が近づいてきたことを示唆するものであった。一部分ながら“Sapphire Rapids-SP”の情報も得られた。

ここからはワークステーションとはやや外れる話であるが、場合によってはこちらの方が大きく関わるという方も多いかもしれない。

ロードマップのスライドの下段にはS-series Desktopという項目があり、“Sapphire Rapids”ではなくコンシューマ向けの“Raptor Lake-S”をベースとした製品が記されている。2023年は基本的にこの“Raptor Lake-S”がデスクトップとエントリー向けワークステーションを担うが、2023年第3四半期に“Raptor Lake-S Refresh”なるものが記されている。デスクトップ向けの“Metor Lake-S”がもう少し先になることを見越しての措置だろうが、どのようなものが出るかは今回の情報からは読み取れない。“Refresh”モデルなのでオリジナルの“Raptor Lake-S”から大きく変わることはないだろうが、一応こんな情報もあるというのは頭の片隅に入れておいても良いかもしれない。

パソコン工房のお得なキャンペーン



コメント
この記事へのコメント
192335 
Xeon-Wはシングル性能はAMDに勝ってそうだけど、SPはIntelであることとAMXぐらいしかセールスポイント無さそう。クロックが低すぎる

そしてArrow Lakeは早くて24年後半だな
Alder Lakeおじさん、大勝利!!

AMDは来年デスクトップ最上位だけでもZen5出せば必ず勝てるぞ
2022/12/09(Fri) 01:36 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192340 
Raptor Lake-S Refreshがマジで出るかはともかく、ロードマップの写真ツッコミどころ満載で笑う
Raptor無印が今出てることになってるし、2枚目のスライドの下の方に「Raptor Laie」とか書いてある
誰が作ったかは知らんが初歩的なミスで笑わせないでくれ
2022/12/09(Fri) 03:27 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192343 
Zen 4 TRがいつ出るかも分からんのでこのセグメントでは暫く無敵
2022/12/09(Fri) 05:56 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192391 
14 nmのCascade LakeからIntel 7でZen 3にようやく追いついた段階かと
ゲルシンガーもSapphire Rapidsでの巻返しには全然期待してないっぽいし
2022/12/10(Sat) 14:28 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192421 
>192391
仮にSapphireが早く出せたとしてもどっちみちEmerald VS Zen4で負けるのは確定だったからな…
Intelとしては最初からGranite VS Zen5に賭けてたんじゃないかな
2022/12/11(Sun) 14:45 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192429 
CoreXがディスコンになるからこっちのX買ってねって事か
2022/12/11(Sun) 20:23 | URL | LGA774 #-[ 編集]
192444 
最近やたらとXeonの広告見るけど、あれだけ宣伝するってことはマジでSapphireの準備できたんかな
2022/12/12(Mon) 16:58 | URL | LGA774 #-[ 編集]
コメントを投稿する(投稿されたコメントは承認後表示されます)