北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
Early Intel Meteor Lake-P laptop CPU tested with Cinebench R23 benchmark(VideoCardz)

ComputexでMSIが“Meteor Lake”を搭載したノートPCを展示していた。展示されていたノートPCはMSI Prestige 16 EVO/Studioの新型モデルである。搭載されているCPUは“Genuine Intel(R) 0000”と表示されており、Engineering Sampleであることがわかる。

そしてこのノートPCを用いてCinebench R23を回した様子やHWiNFOの画面を表示させた様子を見ることができた。
 
Cinebench R23のスコアはMulti-Coreの数字のみ計測されており4281ptsとなっている。しかし、搭載されているCPUはEngineering Sampleであり、この時点で性能を断じるのは時期尚早だ。

むしろ今回の情報はCinebench R23よりもタスクマネージャーやHWiNFOの画面の方が重要である。

HWiNFOの画面からはキャッシュ構成や対応命令、CPU IDやSteppingなど様々な情報を得られる。

まず興味深いのはキャッシュ構成である。

◇P-core (Redwood Cove)
  ・L1 Inst = 64KB/core
  ・L1 Data = 48KB/core
  ・L2 = 2MB/core
  ・L3 = 3MB×core

◇E-core (Crestmont)
  ・L1 Inst = 64KB/core
  ・L1 Data = 32KB/core
  ・L2 = 2MB/cluster
  ・L3 = 3MB×cluster

目立つのはP-core (“Redwood Cove”) のL1命令キャッシュの増量である。“Ice Lake”の“Sunny Cove”から“Raptor Lake”の“Raptor Cove”までのL1 cacheの構成はL1 Inst = 32KB/core, L1 Data = 48KB/coreであった。“Redwood Cove”は久しぶりにL1 cacheの構成が変更され、L1 Inst = 64KB/core, L1 Data = 48KB/coreとなり、L1命令キャッシュが倍増されている。L2 cacheやL3 cacheについては“Raptor Cove”と同容量である。E-coreの“Crestmont”のキャッシュ構成は“Alder Lake”の“Gracemont”と同じの模様である。

続いてコア数・スレッド数である。
P-coreが6-core/12-thread、E-coreが10-core/10-threadとなっている。Windowsのタスクマネージャーも16-core/22-threadとなっている。E-coreが10-coreという中途半端名数字になっているのがキモだ。10-coreのうち、2-coreはSoC Tileに仕込まれたものである。CPU Tileにはこれまでの“Alder Lake-P”や“Raptor Lake-P”と同様の6 P-core + 8 E-coreがが搭載されている。そしてこれとは別にSoCダイには2-coreのE-coreが仕込まれている。L1 cacheもE-coreの分は10-coreが認識されている。しかしL2 cacheとL3 cacheについてはCPU tileに載せられている8-core分しか認識されていない。単純に認識されていないか、あるいはL2 cache, L3 cacheを省略しているのかは現時点ではわからないが、SoC tileに搭載されたE-coreはバックグランドタスクやSoC tileのコントロールを担うといわれている。例えば本当に何もしていないIdle時はSoC tileのE-coreのみを動かし、バッテリ駆動時間を延ばすといった用途である。いわば6 P-core + 8 E-core + 2 e-coreとでも言うべき構成だろう。SoCダイのe-coreは省電力化に貢献するものだが、性能の底上げを主目的としたものではないだろう。

対応命令セットであるが、“Meteor Lake”も“Alder Lake”や“Raptor Lake”同様AVX-512は非対応となっている。おそらく“Redwood Cove”はAVX-512に対応できるが“Crestmont”が対応しないため、“Meteor Lake”全体では非対応という扱いになるのだろう。


周波数も見ることができる。Base 3.10GHz / Boost 4.20GHzとなっているようで、ES品としてはそこそこの周波数の印象である。
TDPはP seriesであることを反映して28W、Configrable TDPで下は20W、上は65Wまで設定できる。PL1は15W、PL2は28Wである。さらにPL4として121Wという数字があるが、このノートPCでそこまで上がるかどうかは不明。

    Meteor Lake-Pまとめ
      コア数は6 P-core + 8 E-core + 2 e-coreで16-core/22-thread
      CPU tileには6 P-core + 8 E-core
      SoCダイにさらに規模を縮小したと推定されるe-coreが2-core。SoC tileの制御やバックグランドタスクのためのコア
      キャッシュはP-coreのL1 Inst cacheが倍増され64KBに。それ以外は“Raptor Lake”とおおむね同じ。噂のL4 cacheは確認できず
      周波数は現時点でBase 3.10GHz / Boost 4.20GHz。
      ES品なのでおそらくもう少し向上する余地がある
      CPU IDは000A06A02。Family 6 Model 170・・・であってる? とりあえず0xAAは過去の情報と合致。


とりあえず“Meteor lake-P”は現時点でCinebench R23を動かせるだけのチップができているということでもあるので、今後を期待したい。

パソコン工房のお得なキャンペーン



コメント
この記事へのコメント
195577 
iGPOの情報はなしか
2023/06/03(Sat) 01:01 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195579 
やっぱり年末か年初ぐらいには出そうな感じ
2023/06/03(Sat) 02:26 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195583 
せっかくだしintelが先陣を切ってAVX512を普及させてほしいもんだが…
2023/06/03(Sat) 05:25 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195584 
SoCダイのEコアが省電力にどれだけ寄与するのか期待
iGPUの基本的なスペックはArc A380とほぼ同じっぽいね
iGPUがAV1エンコードに対応してレイトレも搭載となると、今後ますますdGPUいらなくなりそう
さらにNPUもあるから、動画編集やゲームだけじゃなく、生成系AIもモバイルノート単体でこなせるようになるのか
将来のLunar Lake含めて今後のモバイル向けの展開が楽しみすぎる
2023/06/03(Sat) 05:51 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195592 
展示機は動作周波数が600MHzで固定されてたらしいから
このスコアも600MHzのスコアということになるはずだけど
ベースが3.1GHzだから単純に5倍するとPBP動作で21405ptsくらいか
7700XのPPT動作で20399ptsくらいであることを考えるとモバイルとしてはかなり高いな
まあEコアもあるから単純に○倍で計算できる話でもないだろうけど
2023/06/03(Sat) 10:13 | URL | LGA774 #wLMIWoss[ 編集]
195594 
I/OタイルにCPUがあるのは、そうしないとデスクトップ向けRyzen系のようにアイドル時の消費が上がってしまうからかな?
逆にCPU側のダイが動いている時はI/O上のコアは動いてなさそう
2023/06/03(Sat) 10:36 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195597 
Intelのデモではもっと高いクロックで動いてたし噂通り9月ごろには出そうだな
2023/06/03(Sat) 16:58 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195598 
コンピュートタイルとSOCタイルのEコアは排他的に動作する気がする
2023/06/03(Sat) 19:03 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195601 
OSのバックグラウンドタスクとか常時動いているものをSOC側のEコアで動かせば、CPUダイの方は寝かせておけるから良さそう。
特にバッテリー持ちテストとかだと動画再生するだけなので効くでしょうね。
でも実アプリ使った時のバッテリーの持ちとは今以上に乖離した結果になるだろうけど。
言うなればシネベン最適化の次はバッテリーベンチ対策かな。
マウスカーソル少し動かしただけでCPUダイが起きちゃいそうですからね。
2023/06/04(Sun) 11:06 | URL | LGA774 #oyV.6EWY[ 編集]
195602 
6P8E2eを全部使ってベンチしていたとしてもIPCはそれなりに上がっているかな。

大原氏の主張によると2eはVPUの制御を担当するみたいだから、ユーザーが使えるわけではなさそうな感じはする。少なくとも1eはVPUとか制御関係専用になりそう。
小規模タスクをeコアに回してくるとなると、L3の大きさが実質増えることにはなる。(Adamantineキャッシュがあるなら)
個人的にはSoCタイルにコアを埋め込んで省電力化というのは、スマホSoCのLITTLEコアみたくネットワークに常時接続への対策で、Windowsのモダンスタンバイ時に使われるのかな?と考えている。
2023/06/04(Sun) 14:15 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195603 
Intelのファブってそんなにコスパ悪いのかなってくらいのTSMC率なのが気になる。

生成=generative≠creativeなのだが、そこを勘違いしている人が騒いでいるだけ
creativeであるためにはおそらくエピソード記憶が必要なのだが、
そんなものwebには落ちてないので手詰まり。
意味記憶ならばある意味群知能といえるページランクのほうが普遍的な答えを得やすく、
またAI幻滅期に入りそうな気がする。

文章以外の画像や音楽の引用の基準のあいまいさもあり、
おそらく仕事で使われるのはスマホでは当たり前のSTTや画像処理中心になりそうで
VPUは思ったより仕事しそうだけど、それはそれでなんか残念。
2023/06/04(Sun) 16:16 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195613 
LP-Eコアは、単純に電力効率だけで見るとN6だからIntel4より良いとも思えない。基本的にはアイドル時にFoverosの遅延と電力消費を回避するため、というのが主眼ではないかと思う。

>>195602
今までのリークで、OSから見えているのは間違いないので、VPU制御専用の不可視のコアではなさそうに見える。
原型であるMyliadにLinuxを走らせるためのARMコアが2つあるのは事実だが、今回は違う用途に見えるな。

>>195603
MTLよりはるかに巨大なSierra ForestとGranite RapidsがIntel3 CCD + Intel7 IODの構成なのでコスパ的な問題ではないと思う。
MLTは逆算すると2019年末~2020年初の企画なので、10nmが4コアどまりで7nm(現Intel4/3)の見通しが立っていなかった時代の遺物というのが個人的な推測。
2023/06/04(Sun) 20:43 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195623 
それにしても20Wで1GHz、65Wで3.1GHzはほぼリニアになってて適当に決めた感がすごいなあ。
そもそも、ADLから公式のcTDPの表記がなくなったけども、HWinfoではどう表示されてるのだろうか?
2023/06/05(Mon) 07:50 | URL | LGA774 #-[ 編集]
195650 
アンコア部分の消費電力があるから、たまたまそう見えただけで単純なリニアではないと思うけどな。
2023/06/07(Wed) 18:46 | URL | LGA774 #-[ 編集]
コメントを投稿する(投稿されたコメントは承認後表示されます)