北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
(初出:2012年4月26日22時07分)
(追記:2012年4月29日2時17分)

Ivy Bridge Temperatures – It’s Gettin’ Hot in Here(Overclockers)
Explaining Ivy Bridge's Surprisingly High Temperatures(Legit Reviews)
Is Intel cheaping out on the IHS thermal interface for Ivy Bridge?(VR-Zone)
Ivy Bridge Temperatures Could Be Linked To TIM Inside Integrated Heatspreader: Report(techPowerUp!)

“IvyBridge”のサンプルを入手したレビュワーはいずれもその発熱が予想よりも多いと指摘している。そしてその理由として“IvyBridge”の熱密度が“SandyBridge”より高い、あるいはIntelの22nm Tri-gateプロセスに起因する問題であるなどと推測がされてきた。

今回、Overclockers.comが“IvyBridge”のIntegrated Heat Spreader(IHS)を剥がしたところ、“SandyBridge”まで使われていたFluxless solderに代わり、“IvyBridge”ではコアとIHSの間にTIMペーストが使われていた。
 
熱伝導速度はW/mK(Watt per meter Kelvin)で表される。だが、Intelに“IvyBridge”で使われているTIMペースト、あるいは“SandyBridge”までで使われてきたFluxless solderの熱伝導度を尋ねても社外秘事項であると返されてしまうだろう。なので、ここから先はOverclockers.comのおおざっぱな推測となる。
はんだの熱伝導速度はおおむね80W/mK前後である。一方のTIMペーストは5W/mK程度であろう。繰り返すがこの数字はあくまでも推測であり、正確な数字はIntelの社外秘事項である。だが、はんだとTIMペーストの熱伝導速度には大きな開きがあるということは事実である。
その結果、“IvyBridge”においては熱伝導において2つの障壁が出来ることになる。1つはダイとIHSの間のTIMペーストである。そしてもう1つはIHSそのものである。実際にはこの先にIHSとヒートシンクの間のペーストも介在する。
Fluxless solderはCPUダイからの熱放射を効率的に行うべく開発された者でそれゆえ80W/mKという熱伝導速度を実現している。CPUダイもシュリンクにシュリンクを重ねており、熱密度は実際に上がっており、小さな領域から大きな領域に熱を逃がす必要があるが、ダイとIHSをはんだで接合するのは理にかなった設計であった。もちろんその後の段階でIHSとヒートシンクの間に介在するTIMペーストの熱伝導速度の問題は出てくるが、ダイとIHSのはんだ接合で実現する高い伝導性がダイの熱を広い領域に逃がすのに役に立っていた。


何故このような変更が加わったのか、あるいはこれがES品のみの変更で製品版ではまた変わっているのか、あるいは今後の新リビジョンや“Haswell”ではどうなるのか・・・といったことは一切分かりません。変更の理由の1つとしてFluxless solderが高コストなものであるため(VR-Zoneによると金やプラチナ、チタンが使われているようで、“はんだ”と訳したもののかなり特殊なもののよう)という推測もあるようですが、それを証明するものはありません。

あくまでも1つの噂程度にとらえて置いた方が良さそうな話です。証明するには“SandyBridge”と“IvyBridge”をそれぞれ複数個用意してIHSを剥がしてみることでしょうが、流石にそこまでする物好きはいないでしょう。



(2012年4月29日2時17分 追記分)
Why is Ivy Bridge so hot and bothered?(The Tech Report)

“IvyBridge”ではダイとヒートスプレッダの間に介在する熱伝導物質が従来のFluxless solderからTIMペーストに変更されており、それが“IvyBridge”がTDPの割に熱い理由なのではないかという推測がなされている。
そこでThe Tech Reportでは実際にIntelにこの件について問い合わせてみたところ、“IvyBridge”では“SandyBridge”とは異なる熱管理・パッケージ技術(=different package thermal technology)を用いているいう回答が得られた。しかしながら、何故変更を行ったかの理由、そして具体的に“SandyBridge”と“IvyBridge”で使われているものの違いに関しては回答は得られなかった。
しかし、Intelも“IvyBridge”で使われるようになった新しい熱伝導物質と“IvyBridge”自身の高い熱密度がオーバークロック時の高い発熱の要因となっているだろうと語った。


もう1点、Intelは“IvyBridge”が高いTjMaxを有していることを指摘した。このTjMaxはCPUが自身の熱によるダメージを防ぐためのプロテクト機能が働き始める温度である。このTjMaxが“SandyBridge”のCore i7 2600Kでは100℃であるのに対し、“IvyBridge”のCore i7 3770Kでは105℃に設定されているという。

Intelから“IvyBridge”でダイとヒートスプレッダの間に介在する熱伝導物質が変更されたとコメントが得られたようで、この熱伝導物質の変更と“IvyBridge”自身の熱密度の上昇がOC時の高発熱の要因になっている可能性についても認識しているようです。
では今後はどうするのか?ということが次の疑問として出てくるでしょうが、流石にそこまでの突っ込んだ話はされていません。