北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
(過去の関連エントリー)
AMD APUに関するブロガー向け勉強会を8月1日に開催(2012年8月3日)

とある暑い夏の日、「APUに関するブロガー向け勉強会」でAMDの中の人は言った。

「僕と契約してAPU使いになってよ!」
「僕は君たちが望むAPUをあげよう。その代わり、このAPUの使い方を考えて、Intelと戦って欲しいんだ!」

・・・あまりやりすぎるとボテクリこかされそうなので悪ノリはここまでとしよう。
 
しかし8月1日の「APUに関するブロガー向け勉強会」の目的はまさにこれで、「如何にAPUを活用するか」だ。HSAの設立やソフトウェアベンダーとの連携はひとえにこれの実現のためだ。

ところが「如何にAPUを活用するか」というこの課題。やはりなかなか難しい。敏腕プログラマならばさらりとコードを組んでしまうのかもしれないが、残念ながら私はプログラミング言語なんて扱えない。猫以下だ。

プログラムを組めない猫はただの猫さ・・・・

・・・もといただの自作erだ。

では自作erの視点で何か出来ないだろうか。
実はこのエントリーのヒントは8月1日の勉強会で出ていた。

それが下の写真だ。

AMD作成の小型ケース(2012年8月1日)
APU勉強会でお披露目された試作小型ケース


これはAMDが依頼して作成させた小型PCケースだという。おそらくはBlu-rayレコーダ、あるいはデスクトップ型PCのように横置きにすることを想定して作られており、高さが非常に抑えられている。

ならばこれを一足先に実現してやればいい。

まずAPUとマザーボード、これは勉強会の際にAMDから頂いたものである。
A8-3870K(2012年8月19日)A75M-DS2(2012年8月19日)
A8-3870K
CPUは4-core, 3.00GHz
GPUは400spで600MHz駆動のRadeon HD 6550D
Gigabyte A75M-DS2
A75 FCH搭載のMicroATXマザーボード


A8-3870K(2012年8月19日)A75M-DS2(2012年8月19日)
A8-3870Kマザーボード
MicroATX規格ではあるが一回り小さい


Elpida製DDR3-1600 4GBメモリ(2012年8月19日)Ninja-256 SSD 外観(2012年7月16日)
メモリはSanMaxのElpida製チップ搭載DDR3-1600 4GBストレージはブートドライブにPlextorのNinja-256を使用。
この他にSeagateのMomentus XT 750GBとHGSTのDeskstar 2TBをストレージとして搭載した。


そしてAPUと並んで今回の主役になるのがこのケースである。

Abee Smart P2(2012年8月19日)
北森瓦版の背景みたいな色のAbee Smart P2 アクアブルーモデル


Abee Smart P2―MicroATXマザーボードを搭載可能なスリムタワーケースだ。寸法は424×109×349mm(H×W×D)、下に一般的なATXケースと並べた写真を示す。

Abee Smart P2とWiNDy MT Pro 1800(2012年8月19日)Abee Smart P2とWiNDy MT Pro 1800(2012年8月19日)
左が今回のAbee Smart P2、右はATXケースとなるWiNDy MT pro 1800。


高さはATXケースと同等となるが、幅は約1/2に、奥行きも3/4程に収められている。比較となるATXケースは一昔前のケースで奥行きは短めのため、最近のケースと比較するとよりコンパクトに収まっているといえる。

Abee Smart P2 中(2012年8月19日)組み立て中(2012年8月19日)
中身マザーボードを取り付けた図


このケースは下に電源スペースとストレージが収まる2.5インチベイ×2 / 3.5インチベイ×2が配置され、上方にマザーボードと光学ドライブが配置される。光学ドライブはスリムタイプのみの対応となるが、これにより一歩進んだ小型化を実現している。

組み立て中(2012年8月19日)組み立て中(2012年8月19日)
ストレージを取り付けた状態完全に組み上げた状態


このケースが見ての通りだいぶデザイン重視のケースのため、いくつか組み上げる際に難点があった。1つめは上の写真でもうかがえるがケーブルの取り回しの問題。特に電源ケーブル―なかでもATX 24-pinケーブルは太いためやや難渋した。2つめはエアフローの問題。このケースはファンが前面の92mmファン1基のみと冷却はお世辞にも良いとはいえない。逆にこのようなケースでもAPUであればバランスのとれたPCを組めるというのがこのエントリーの趣旨だ。実際このPCにグラボを差したらエアフローがさらに悪化しそうだが、APUであれば元からそこそこ強力なGPUを搭載しているため、GPUを挿さずともそこそこのグラフィック性能は確保できる。

CPUクーラー(2012年8月19日)Windows Experience index(2012年8月19日)
おまけCPUファンWindows Experience index


組み上げたPCのWindows Experience indexが上のSSとなる。グラフィックの項目が6.7でそれ以外は全て7.0を超えるスコアとなっている。

今回私がやったのは一言で言えば「PCを組み上げただけ」だ。ただし、「MicroATXと言う条件ででできる限りの小型PC」という注釈がつく。つまり、MicroATXでも頑張ればこの程度のスリムでスタイリッシュなPCができあがる訳で、これがMini-ITXやかつて提唱されたDTX/Mini-DTXであればより省スペース化することが出来る。また今回のAPUはA8-3870KでTDP100Wであるため、排熱がやや難点があるが、これもTDP65WのA8-3820やもうじき発売されるであろうA10-5700, A8-5500をもってくればある程度の解決を見ることになる。TDP65Wならば排熱に余裕が出来るため、GPU性能の底上げするためにDual-GPUを構築するという手が出てくる。このような小さなケースの場合はPCI-Express電源コネクタを必要とするようなカードを挿すのは躊躇われる上に、ロープロファイルとなると相当条件が厳しくなるが、PCI-Express電源なしのdGPUならば配線の取り回しがややこしくなることもなく、発熱もシビアではない。なによりもロープロファイルのカードが手に入りやすい。そしてAPU+dGPUのDual-GPU構築により単純にdGPUを搭載した以上のGPU性能が得られるのはメリットだろう。実際に次はこのPCにもRadeon HD 6570当たりを搭載してDual-GPUを構築してみようと思うが、締め切りの関係もあるためまずはこの状態で第1弾としたい。

APUには小型PCを組みやすくなるというメリットがある。自作PCではなかなか実現できないが、オールインワンPCとの相性も良好だろう。そこそこのCPU性能とそこそこのGPU性能というバランスのとれたチップ出あるため、GPUを挿さずともバランスのとれたPCを組むことが出来る。今はなんとなく液晶画面だけ綺麗な印象のオールインワンPCも強力なGPUを有するAPUを搭載すれば、美しい液晶画面もより生きるだろう。

これを活かしてかつて提唱していたDTXやMini-DTXといった小型プラットフォームを推し進めて欲しいというのが1点、APU側も現行のTDP100W、TDP65Wの他にかつてAthlon X2やAthlon II seriesで存在していたTDP45Wの製品を検討して欲しいというのが勉強会を開催してくださったAMDの皆様に送るメッセージである。