北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
◇【TSMC】16nm FinFETプロセス製品の生産を開始
TSMC begins volume production of 16-nm FinFET chips(The Tech Report)
(参考)TSMC's 10-nm FinFET process toddles towards validation(The Tech Report)

第2四半期の決算報告で、TSMCのMark Liu氏 (president and co-CEO) はTSMCが16nm FinFETプロセスを使用する製品の大量出荷を開始したと発表した。Liu氏は16nmプロセスの立ち上げは20nmプロセスよりも積極的に行っており、その結果、TSMCはファウンダリ事業における市場シェアを2015年後半から2016年にかけて伸ばすことができるだろうと予想している。

Liu氏は10nmプロセスと7nmプロセスについても語り、このうち10nmプロセスについては“Product-like Validation Vehicle”と呼ばれるものをテープアウトしており、計画は順調に進んでいるとしている。7nmプロセスについてはvalidation sampleを2017年第2四半期に計画しており、これは10nmのvalidationの15ヶ月後となる。

TSMCの16nm FinFETプロセスはNVIDIAのGPUやAMDのGPUに関与するであろう製造プロセスです(後者はGlobalFoundriesに移行する可能性も否定はできないが)。今回その16nm FinFETプロセスの大量生産と出荷が開始されたことが、決算報告で明らかにされました。
 


◇TSMCの10nmプロセスの大量生産は2016年第4四半期
TSMC: 10nm is on-track for volume production start in Q4 2016(KitGuru)

TSMCは10nmプロセスについてリスク生産および量産いずれについても遅れはないことを強調した。同社は10nmプロセスを使用した製品を来年末に大量生産するとしており、つまり顧客は2017年第1四半期に最初の10nmプロセス製品を受け取ることになる。

「最近の10nmプロセスの開発の進捗は非常に良く、計画通りに進んでいる」
Mark Liu氏 (president and co-CEO) は投資家およびフィナンシャルアナリスト向けのカンファレンスコールでこのように述べた。
「10nmプロセスのリスク生産とQualification (訳しづらいが検証や品質化という言葉が充てられるだろうか?) は今年中を目指しており、その後多くの顧客が製品のQualificationを得られる。そして大量生産は2016年末の開始を予定している」


注意しなくてはいけないのはこの生産開始というのは決して商用出荷の開始というわけではないことだ。10nm FinFETプロセス技術で製造された先進チップの生産サイクルであるがウエハからチップとして出荷されるまでに100日以上かかる。そのため、顧客にチップとして10nm FinFETプロセスの製品が供給されるのは2017年第1四半期となる。そして、10nmプロセス製品の大量生産が開始されるのは2017年第1四半期末または第2四半期のどこかからであろう。

TSMCは10nm FinFET (CLN10FF) の特性について、場によって異なる発言をしており、まだその仕様が固まっていないであろうことを示唆される。
現時点ではTSMCは10nm FinFETプロセス (CLN10FF) におついて、16nmFinFET+ (CLN16FF+) と比較し110~120%高いトランジスタ密度となり、周波数は同消費電力で15%高く、逆に同周波数であれば35%低い消費電力を実現できるとしている。


10nmプロセスではTSMCはトランジスタ密度を増し、チップあたり・トランジスタあたりのコストを下げることを重視すると思われる。その背景として16nmプロセスのバックエンドが本来20nmプロセスとして用いられたものであるからである。そのため、16nmプロセスで製造されたICは20nmで使用されたものとサイズがほとんど変わらない。そのため、多くのファブレス半導体メーカーはTSMCの16nmプロセスがFinFETの採用も加わってトランジスタあたりのコストが高く、あまりにも高価なプロセスであると考えているようだ。

一方、TSMCの10nmプロセスの性能向上幅は16nm FinFET+と比較するとそれほど劇的なものではない。16nm FinFET+がそもそも似たような優位性を持つプロセスで、16nmFinFETと比較して15%の高い周波数または30%低い消費電力を実現できるプロセスだからである。

こちらは16nm FinFETプロセスの次の10nm FinFETプロセスに冠する話題です。10nm FinFETプロセスは2016年末に大量生産に入り、チップとして顧客に出荷されるのは2017年第1四半期となるようです。

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コメント
この記事へのコメント
149047 
20nmのGPUは出て来ないみたいだが、FPGAでようやく量産品が供給開始になったところ
その先の連中は、記事の通りもう少し待たなきゃだな
2015/07/19(Sun) 00:17 | URL | LGA774 #-[ 編集]
149052 
GPUに使われるのは16FF+の方みたいなことをどこかで見たけど、どうだろうか
10nmも順調にいくとは思えないけど、28nm→14/16nm程は長引かないかな?
nvidiaのロードマップだと、2018年のVoltaでPascalからワッパ2倍弱を目指すようだし、10nmを使うつもりだろう
2015/07/19(Sun) 06:43 | URL | LGA774 #-[ 編集]
149070 
GK110やGM200みたいじゃなく
GP100になるくらい好調なのかな?
2015/07/20(Mon) 04:11 | URL | LGA774 #-[ 編集]
149073 
消費電力そのままで28nm HP→16nm FinFET+で最大40%アップ
16nm FinFET+ → 10nm FinFETは15%アップか
10nmまでくるとハイエンド1枚でも4K十分だな
2015/07/20(Mon) 14:43 | URL | LGA774 #-[ 編集]
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